小2国語「わたしはおねえさん」指導アイデア
教材名:「わたしはおねえさん」(光村図書 二年下)
指導事項:〔知識及び技能〕(1)オ〔思考力、判断力、表現力〕C(1)オ
言語活動:(2)ア
執筆/千葉大学教育学部附属小学校教諭・青木大和
編集委員/前・文部科学省初等中等教育局教科調査官・菊池英慈、千葉大学教育学部附属小学校副校長・大木圭
目次
単元で付けたい資質・能力
①身に付けたい資質・能力
登場人物の発言や行動を自分と比較しながら読む力の育成をめざします。「わたしはおねえさん」は、子供と同じ二年生のすみれちゃんが主人公の物語です。妹の落書きによって起きた心の葛藤を乗り越え、お姉さんらしくしようとする様子が書き表されている教材です。
②言語活動とその特徴
本教材の主人公は、子供と同じ年齢のため同化しやすく、体験や言動に共感し、想像を広げながら読み進めることができます。そこで本単元では、「自分歌をつくろう」という言語活動を設定し、主人公のような体験やもし自分が主人公だったらと想定して、歌詞を書いていく活動を設定します。
二年生の後期になり、一年生のお世話をしたり、下級生ができたことの実感が芽生え始めたりした子供にとって、兄弟関係だけはなく、主人公に起きたことは、珍しいことではないと共感できるはずです。また、経験がなくても主人公の置かれている状況を捉えることで、「自分だったら……」と想像することは難しいことではないでしょう。
単元の導入時には、「一年生や弟、妹と過ごしていくなかで困った経験」を想起させます。その後、「わたしはおねえさん」を読んでいきます。多くの子供は「同じような経験した」「この前なんてさ……」と話し始めるかもしれません。主人公の歌を取り上げ、自分歌(わたしは○○)の歌詞をつくることを知らせます。
そのことで、主人公と自分を比較したり共感したりしながら主人公の心情を読み取りつつ、自分の考えの形成につながると予想されます。書いた自分歌の歌詞は家族に紹介することとし、小学校生活で下級生ができたことにより成長した様子を、自分歌を通して見せられるようにします。
単元の展開(9時間扱い)
主な学習活動
第一次(1時)
◎学習の見通しをもつ
・題名を読み、一年生のときの自分と比べて「お姉さん、お兄さんになったな」と思うことについて話し合う。
→アイデア1
【学習課題】自分歌をつくろう。
第二次(2~6時)
◎すみれちゃんの人物像を読み取る
・すみれちゃんの言動を基に心情マップを作成し、心情の変化について話し合う。
→アイデア2
・すみれちゃんの行動や言動について自分と比べて感じたことを書く。
第三次(7~9時)
◎自分歌の歌詞をつくろう
・すみれちゃんの歌を基に「わたし(ぼく)は○○」を書いていく。
→アイデア3
アイデア1 自分がお姉さんお兄さんになったと実感した場面を想起させる
物語に出合う前に、子供が登場人物と同じ状況にあることを実感させる必要があります。主人公は、子供と同じ二年生の「すみれちゃん」です。彼女には、二歳の妹「かりんちゃん」がいます。「わたしはおねえさん」は、すみれちゃんがかりんちゃんとのかかわりによって成長をする物語です。
ですから、子供がすみれちゃんの心情と自分の心情を重ねやすくできるように、自分の状況を想起させることが重要です。子供には、自分が「お姉さん、お兄さんになったと思ったとき」をテーマに発言を促します。
それぞれの子供がお姉さんやお兄さんと思ったときを聞くだけではなく、それと同時に「困ったこと」を聞くようにしましょう。自分がお姉さんやお兄さんとして困ったことを聞くことで、より登場人物の心情と重ねることができるはずです。
「お姉さん、お兄さんになった」と感じたときはありますか?
妹におやつを譲ってあげたときです。
困ったことはありますか?
私のおやつなのにいつも「欲しい」って言ってきます。
アイデア2 すみれちゃんの心情マップを作成する
物語では、すみれちゃんがかりんちゃんの落書きにより、一度は落胆しますが、その後心情の変化が起きます。心情マップを作成し、すみれちゃんの変化や成長を捉えることができるでしょう。
心情マップを作成する際には、その根拠となる言動や行動を書き加えられるようにしましょう。また、その言動がすみれちゃんのどのような心情を表しているのかを捉えるように促します。
心情マップに書き込みつつ、「自分だったら……」という意識で読むように促しましょう。“ノートをじっと見ている場面〟や“すみれちゃんがかりんちゃんを見て笑い出す場面〟では、心情を捉えることが難しいかもしれません。
しかし、その後のすみれちゃんの様子を読むことで、自ずとすみれちゃんの心情を読むことができ、自分と対比することができると考えられます。
▼すみれちゃんの心情マップ
イラスト/横井智美、川野郁代
『教育技術 小一小二』2020年12月号より