“仕組み”で上達! 失敗しない「書写の授業」完全ガイド

書写の授業、つい「書かせて終わり」にしていませんか? 自信をもって指導できていますか? 今回は、書写が苦手な子供でも、時数が限られた授業の中でグンと上達する“新しい書写授業の技”を埼玉県公立小学校の紺野悟先生が伝授します! 子供たちのやる気と集中力を引き出す「枠組みの設定による学習環境づくり」で、書道が苦手な先生も、得意(好き)な先生も、手応えのある充実した授業をめざしましょう!
執筆/埼玉県公立小学校教諭・紺野悟
目次
書写の授業、「書いて終わり」にしていませんか?
書写の授業、実は盲点です。
相対的に教材研究をする優先順位が下がり、「とりあえず書かせればいいや」と、授業をこなしてしまうことが多くなります。理由はいくつかあります。
- 授業時数は週に1回です。
- ペーパーテストはありません。
- 手本を配って「今日は4枚書こう!」と指示すれば、授業を進めることができます。
小学校の先生は、毎日いろんな教科を教えています。ですから、どの教科も手を抜いてはいけないことは分かっていても、軽重をつけながら仕事をすることは理解できます。
また、書写が得意(または、好き)な先生は、あれこれ説明して、結局、書く時間が短くなりがちです。やはり週1回しかないので、この1時間で伝えたいことが多くなるからです。
筆使いや書き方をたくさん教わっても、書く時間が短くなっては身に付きません。指導を聞いている時間よりも実際に書いてみるからこそ、できるようになります。
いずれの場合も「書いて終わり」になることの多い書写の授業。
さて、今回はそんな普段の書写の授業を題材に取り上げました。きっと、どちらのタイプの先生にも、役立つ書写の授業の進め方であると自負しております。
書写の授業の流れ
①準備(5分)
書写の授業では、習字セットの準備があります。他の教科に比べて準備するものが多いので時間がかかります。墨がこぼれたり、筆だけ忘れたなどの道具忘れも出てきたりするため、イレギュラーな出来事にも対応が必要になります。そこで、効率よく準備を終わらせて、授業を始められるようにする必要があります。

②説明(5分)
ここで行う説明が、学習活動の指針となります。子供たちにとっての見通しになります。なので、黒板に書き出して、後から見ても確認できるようにしておきます。説明することは、次のようなことが挙げられます。
- 書く枚数
- 提出の有無
- 片付けに関すること

③ミニレッスン(5分)
筆遣い、穂先の向きなどのポイントを示します。多すぎると大事なことを見失ってしまうので、1時間に1つに絞って提示します。一度に5分かけて指導する場合もありますし、実際に子供たちが書きながら指導する場合もあります。内容によって使い分けます。また②説明と一緒に行う方がよい場合もあります。
【ミニレッスンの例】
- 筆の上げ下げ
- 穂先の向きはどっち?
- 硯は墨を入れておくだけじゃない!? 硯のよい使い方

④書く(25分)
子供たちが実際に書く時間です。この時間の中心活動です。少なくとも25分は確保します。たくさん書くというよりも、少ない枚数でもポイントを意識して書いたほうが上手になります。ただ書けばよいのではありません。
私は、毎回3枚を基本としています。書くことが中心ですが、書くだけではなく、手本と重ねて分析してみたり、長さを調べてみたりして、課題意識をもって書けるようにします。
⑤片付け(5分)
書き終わりがバラバラになるため、終わった人から行うようにします。しかし、まだ書いている人もいるので、音を立てないようにするなどの配慮が必要ですし、こぼさないように注意することも大切です。そのためには、正しい片付け方を初めのうちに指導しておくことが大切です。
- 筆の墨を半紙や新聞紙にとる
- 墨をボトルに戻す、あるいは、戻さないで捨てる

