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小5道徳科 広い心「折れたタワー」

特集
文部科学省教科調査官監修「教科指導のヒントとアイデア」
小5道徳科 広い心「折れたタワー」 バナー

文部科学省教科調査官監修による、小5道徳科の指導アイデアです。今回は、B【相互理解、寛容】「折れたタワー」の実践を紹介します。
自分の物を友達に壊されるという子供たちに身近な問題場面をもとに、自分の物を壊されても壊した相手を許すことに友達の条件がどのように関係しているかについて深く考える授業内容となっています。

執筆/鹿児島県公立小学校教諭・宮下智和
監修/文部科学省教科調査官・堀田竜次
 鹿児島県公立小学校校長
 鹿児島県小学校道徳教育研究会会長・永里智広

1 はじめに

私たちが生きていくうえでの困難を乗り越えていくためには、生きるうえでの様々な見方、考え方を広げる必要があります。その際に、自分の生き方が道徳的に見てどうなのかを問い続ける姿勢が求められます。

そのために、道徳科の授業の中で、日常的に起こりうる臨場感のある道徳的問題場面を取り入れ、問題を自分事として捉えて考えることができる発問を工夫していく必要があると考えました。

子供自身が自分の生き方について考えるときに一番身近な材料として「友達」の存在が挙げられます。毎日の学校生活の中で、友達関係が問題になる場面が多いです。自身にとって友達とはどんな存在かを考えたとき、そこには、友達であるための条件が発生します。生きてきた背景、興味・関心の対象、大切にしてきた見方や考えが背景にあって、個々に異なるものであると考えます。

今回は、内容項目の「相互理解、寛容」の視点で友達の条件を考えることによって許すことの意義を考え、許すことが友達関係づくりにどのように機能していくのかを深く考える授業をデザインしました。具体的な構想としては、子供たちの「友達の条件」に対する概念を明らかにし、新しい視点で「相互理解、寛容」を捉えるようにするための展開に焦点を当てて実践しました。

小5道徳科 広い心「折れたタワー」 道徳的価値の分析 内容項⽬の関係図
内容項目の関係図
小5道徳科 広い心「折れたタワー」 広い心 許せる 許せない

2 展開の概略

 事前に友達の条件についてアンケートを取る。
 みんなが考える友達の条件を見て話し合う。
 友達との問題が起きたとき、許せた経験と許せなかった経験について話し合う。
 許せた経験と許せなかった経験を比較し、めあてにつなげる。
 教材「折れたタワー」の範読を聞いて、登場人物について自分との関わりで考える。
 ◯マスクを忘れてまさおに責められたときのひろしの気持ちについて考える。
 ◯まさおの行為について、自分だったら許せるか許せないかを考える。
 ◯どんな考えがあれば、まさおの行為を許せるかを話し合う。
 許すことで何が変わるかについて話し合う。

〈事前アンケート結果〉

子供たちからアンケートを取り、友達の条件に当てはまる項目をまとめます。

小5道徳科 広い心「折れたタワー」 友達の条件」についてのアンケート結果
「友達の条件」についてのアンケート結果

友達の条件の「ない」という項目を全員で確認したうえで、「友達に条件を求めないのか」という問いを投げかけました。例えば、「友達に嫌なことをされても友達でいられるか」など、日常的な問題につながっている事例を取り上げ、友達の条件の多様性に対する問題意識を高めるようにしました。

小5道徳科 広い心「折れたタワー」 友達の条件」についてのアンケート結果 友達に条件を求めないのかを考える

3 実際の授業展開

フッターです。