【実践レポート】協働的に学びを深める「答えのない教室」
「答えのない教室」とは、子供が自ら考え、答えを導き出すという姿を目指した授業法です。カナダ発祥の授業法 (Building Thinking Classrooms/邦訳「答えのない教室」)は世界中、特に北米や北欧諸国で実践され、現時点でこの教え方を書いた本は16か国語に翻訳されています。日本でもその学習方法を取り入れて実践しているのが千葉県流山市立おおぐろの森中学校。その授業を行っている同校教諭・池田吉久先生の中1クラスの数学授業をレポートします。

目次
数字の「規則性」を考える
「答えのない教室」とは、3人のグループワークで答えを導き出す学習方法です。教室には、ホワイトボードを壁面に設置する学習環境を整えます。この日はホワイトボードが11枚設置されています。
中学1年の学級は34人。数学専科の池田先生は、24年度の4月から週1回、数学の授業で「答えのない教室」を取り入れ、今回の取材の授業がその集大成になります。


今回は、「50番目の数字を見付けるにはどうしたらよいだろうか?」という問題で、「規則性」を考えていきます。
最初は、子供たちに考え方が分かるように例題をクラスのみんなで解いていきます。先生から次の問題が出題されます。
1、2、3、4に対応する数字を出すので、それを見て、その関係性から50番目の数字を推測してください。対応する数字は、3、6、9、12です。

50に対応する数字は150です。
上と下の数字の関係は?
3の倍数です。上と下の関係は比例です。
もう1つレベルを上げます。nだったらどういう式で表せるでしょうか。
3nです。
そうですね。今日は数字を見て、50番目の数字を推測する問題を解いていきます。どうしたらその数字が見付けられるかということを考えながら見付けてほしいですね。


3人のグループワークで問題を解く
その後、11枚のホワイトボードのそばに各3人のグループに分かれ、3人で話し合いながら先生が出題する問題を解いていきます。3人のグループは毎回異なるメンバーで、それはトランプカードの数字で決めていきます。ゲーム感覚で楽しくメンバーが決められ、毎回メンバーが異なるので、クラスのいろいろな友達とのコミュニケーションが図れるという利点があります。
問題が解けたところで、子供たちは手を挙げて先生を呼び、答えと合わせてどのようにして解いたかという考え方を先生に説明します。そのグループの3人とも考え方を理解できていると先生が判断したら、子供たちは次の問題へと移ることができます。先生はこのようにして、各グループを回って子供たちの様子を見ていきます。

途中、子供の考え方をみんなに共有したいときには、みんなを集めて、説明する場面をつくります。
例えば、次のような問題では、



以下のような考え方を見付けることができました。
表の下の数字の差、例えば、3と5、5と7、7と9の差は2になり、2ずつ増えています。その数字はnの前の数字になるかもしれないと考えたら、2つ目の表もそうなったので、そのように考えていくとnの前の数字が簡単に分かります。
表の下のほうの数字の差がnの倍数になることを発見。それをみんなの前で説明して、考え方を共有しました。

その後も同様に次の問題をグループで話し合いながら解いていきました。

