小2道徳「教えて いいのかな」指導アイデア
執筆/北海道公立小学校教諭・戸来友美
指導項目:【節度・節制】
目次
使用教材
「教えて いいのかな」(教育出版 二年)
学校で電話の対応をほめられた林さんが、一人で留守番中に不審な電話を受ける話です。友達のお母さんを名乗る電話の相手に、クラスの人の電話番号を聞かれ、迷っているとお母さんが帰宅し、電話も切れました。
学習指導要領には、節度・節制の第一学年及び二学年の目標は、「健康や安全に気を付け、物や金銭を大切にし、身の回りを整え、わがままをしないで、規則正しい生活をすること」とあります。
解説には学校で指導すべきこととして、「安全に関することとしては、交通事故及び犯罪や自然災害から身を守ることや危機管理などがある」とあります。
夏休みを目前にして、留守番の機会もある子どももいるでしょうから、良い方法をみんなで考え、不審電話から自分や友達の情報を守るためにどうしたらよいか、意見を出し合う授業をします。
私は、不審電話がかかってきて嫌な思いをした子どもに出会ったことがあります。そのような思いをさせないためにも、悪いのは嘘をついて聞き出そうとする大人であり、その人たちから自分を守るための学習だと伝えます。
本時の展開
①子どもたちに留守番の経験を尋ねる
家で子どもたちだけで、または一人で、お留守番をしたことがある人はいますか?
と問いかけます。もしもいたら、
お留守番する時、お家の人と約束していることを教えてください
と、留守番の時の約束を聞いてみます。
・知らない人が家に来ても玄関に出ない
・電話は出ないようにする
・キッチンには行かない
など、安全を守るための約束事が出てくるでしょう。留守番をしたことがない子には、友達の経験を聞き、留守番のことや大切なことを共有します。
②黒板に教材名を書き、本文を読む
今日は一人でお留守番をしていた時に、怪しい電話がかかってきた林さんのお話を読みます
電話の相手から、クラスの人の電話番号を聞かれた場面で止め、
林さんはどうしたと思いますか? 電話番号を教えていいのかな?
と質問をし、この先の行動を想像させます。 どうしてそう思うのかも質問をすることで、自分を守るために必要なことは何かを考える意見が出てきます。
それらを板書しておきます。教材を最後まで読み、電話が不審電話であったことを確認します。
③個人情報を守ることが大切なことを伝える
名前や住所、電話番号やメールアドレス、ラインのIDなどは『個人情報』と言われていて、知らない人に教えてしまうと、悪いように使われたり、どこの誰だかがわかってしまって、危険なことが起こりやすくなったりする心配があります。自分のことも友達のことも守っていけるようになってほしいです
と、個人情報について触れます。
④不審電話が来た場合、どうしたらよいかを考える
パペットや人形を使って、担任と不審電話のやり取りを再現します。担任はサングラスをかけて不審電話の相手になります。
担任:「◯◯さんのお母さんに連絡したいことがあるので、連絡網の電話番号を教えてもらえませんか?」
おさる:「はい、わかりました。えっと……。」
子どもたちには、パペットが迷っている様子から、だめというつぶやきや仕草が見えてくるでしょう。その子たちにどうしたらいいか意見を聞きます。
おさるさん(パペット)が、悪い大人に、クラスの子の番号を教えないよう、みんなでいい方法を教えてあげよう
電話番号は教えられません。
お母さんがいないので、答えられません。
学校に聞いてください。
電話を切ります!
などの意見を板書して、また、パペットを使ってその様子を再現し、これで個人情報を守れると伝えます。
⑤自分たちもやってみよう
断る練習をします。担任の先生が、電話番号を聞き出そうとします。どうにか断る言葉を練習します。板書(下記参照)を参考にしてもいいし、自分なりに考えてもいいでしょう。新しい意見が出たら、黒板に書き足していきます。
⑥今日の学びを振り返る
今日の学習で、これからの生活に生かしていけることは何ですか。書きましょう。本当は、こんな電話がないことが一番なのですが、お留守番する時に思い出してくれると、自分や友達の大事な個人情報が守れますね
と伝えて、今日学んだことをプリントに書き留めます。
板書計画例
評価
「個人情報を守り、安全な生活を送るための対応に気づき、今後の自分の生活にどのように生かそうとすればよいかを考えているか」を、断る練習から見とったり、振り返りの記述を読んだりして評価します。
イラスト/小泉直子 横井智美
「教育技術 小一小二」2019年7/8月号より