どうして、音楽や図工などの正直社会で全く役に立たない金のかかる授業をするの?
小学生から先生への質問を募集した「先生、しつもんです!」。その質問と回答を紹介しているよ。
どうして、音楽や図工などの正直社会で全く役に立たない金のかかる授業をしなければならないのでしょうか。さしつかえなければお答え願います。(末広大明神・6年生)#先生しつもんです! #授業のこと
これまでとは違う(ちがう)世界を見ることができるよ
末広大明神さんは、もしかしたら音楽や図工を次のようにとらえているのではないかな?
「歌やリコーダーが上手(じょうず)になる特訓」
「絵を上手に描(えが)けるようになる練習」
そうだとしたら、たしかに大人(おとな)になったときあんまり役に立たないね。歌手や絵描きになるのであれば別だけれど……。
でも、音楽や図工(ここからはまとめて「アート」と呼ぶよ)のホントの目的はそうじゃなくて、それまでとはちがう「ものの見方」を手に入れることだと私は考えているよ。
たとえば、「科学の見方」で説明できることと、「アートの見方」で感じられることはちがう。
風がふいてきたとして、
「科学の見方」では、「気圧が高い方から低い方へ空気が押し出された」と説明がつくよね。
でも、「アートの見方」をしたら?
風の音からメロディーがうかび上がるかもしれない。風がほほをなでるのを感じ、生き物のように思うかもしれない。
同じ「風」についてでも、見える世界がこんなにちがう。
新しい「ものの見方」を手に入れると、これまでとはちがう世界を見ることができる。それってすごくおもしろいことだと私は思うんだ。
(美術教師・アーティスト・末永幸歩先生)