小5体育「ソフトバレーボール」指導アイデア
目次
ふかめる
ここでは、得点するためにチームでどのような作戦が必要なのかを考えたり、話し合ったりします。考える視点は、「隊形」「相手コートのどこを狙うとよいのか」「みんなが楽しむためのルール」の3 つです。
みんなが楽しむために、「キャッチしてもよい」「プレイヤーの人数の変更」「ネットの高さの変更」というルールや場の工夫例を提示し、チームで選択できるようにします。話合いの機会が多くなるため、子供の運動量の確保とのバランスを意識しましょう。
【試しのゲーム】 ⇒ 【話合い】 ⇒ 【ゲーム】
ゲーム1 (キャッチ2 回まで)
【試しのゲーム】
1 回目と2 回目に触る人はキャッチできる。3 人がそれぞれコートのどこにいるとよいのか考える。※ キャッチ保持時間は2秒以内
【話合い】

どのような場所がいいかな。
【ゲーム】

2 回目に触る人は、ネットの近くにいるといいね。
ゲーム2 (キャッチ1 回まで)
【試しのゲーム】
1 回目か2 回目に触る人はキャッチできる。相手コートのどこに返球するとよいのか考える。※ キャッチ保持時間は2秒以内
【話合い】

相手が取りにくいところに返そう。
【ゲーム】

コートの奥や手前など相手がいないところに返そう。
ゲーム3
【試しのゲーム】
相手チームと話し合い、さまざまなルールや場を試しながら、みんなが楽しめるルールを考える。
【話合い】

対戦相手と相談して試したいルールを検討します。
【ゲーム】

ソフトバレーボール大会
みんなが楽しむことができるための大会用のルールについて話し合ったり、チームで作戦を立てたりして、大会を楽しむ。
【話合い】

大会のルールを学級で話し合って決定します。
【ゲーム】

授業のアイディア
ソフトバレーボールはネットが必要な運動であるため、学校に十分なコートの数が準備できるとは限りません。用具を工夫したり、ローテーション制を仕組んだりするなどして、子供の運動量の確保に努めましょう。
また、ボールをはじく感覚に慣れるための準備運動も大切です。学級内で子供が互いに励まし合い、運動を楽しむことができるような雰囲気づくりも重要です。ルールや場を工夫したり、フェアプレイリストなど掲示物を工夫したりするなどして、みんなが主役になれることを目指しましょう。
考えられるルールと場の設定の工夫例
『ラリーがうまく続かない時は』
『苦手な子への配慮は』
『運動量の確保は』
『みんなが楽しくゲームするには』
【人数】1 チーム6 名編成でゲームは4vs4 →プレイヤーを4 名から3 名、4 名から5 名への変更も可
【触球数等】触球3 回以内で相手コートへ返す→ 4 回以上の触球も可、ボールキャッチ(保持時間制限あり)も可
【得点等】得点1 点→触球3 回返球で3 点、2 回で2 点、1 回で1 点、4 回以上1 点
【サーブ】サービスラインからサーブ→サーブの投げ入れも可、サービスライン前からのサーブも可
【コートやネット】実態等を踏まえてコートの大きさやネットの高さ(160cm~180cm)を変更
【ボール】:実態等を踏まえて50g~100g のソフトバレーボール使用
運動量の確保❶
◎用具や場の工夫 ~簡易ネット~

○高跳用支柱に砂袋を置き、ロープとビニールテープで簡易ネット
○セメント支柱にロープとビニールテープで簡易ネット
○体育館の両側の壁にフックをかけ、ロープを張りビニールテープで簡易ネット
運動量の確保❷
◎ローテーション制
※ 得点が入ったら両チームともローテーションします。

準備運動の工夫
※ 個人でできる練習を取り入れ、ボールに触れる回数を増やして、はじく感覚を身に付けましょう。



掲示物例
◎フェアプレイリスト
・ルールを守る。
・仲間を励ます。
・審判に文句を言わない。
・自分の役割ができる。
・友達のよいプレイをほめる。
・試合結果を受け入れる。
・安全に用具の準備ができる。
教育課程調査官からのアドバイス
国立教育政策研究所 教育課程調査官 高田彬成
ボール運動ネット型は、ネットをはさんで相手と自陣を区別して行うため、相手チームとの身体的な接触がなく安心して行えること、チームの作戦や自分なりのプレイを実現できる機会が比較的多いこと等の特徴があります。
チームでの練習や相手チームとのゲームを通して、ボールの方向に体を向けたり、ボールの落下点やボールを操作しやすい位置に体を移動したりする技能、ボールをはじいて相手コートに返球する技能などの習得をめざします。
ルールやマナーを守り、友達と助け合って練習やゲームをしたり、安全に留意しながらゲームをしたりする態度を身に付けることが大切です。
また、規則を工夫したり、簡単な作戦を立てて練習やゲームをしたりすることは、学習をより楽しくするだけでなく、思考・判断・表現の指導としても重要であるため、これらをバランスよく指導するように心がけたいところです。
イラスト/たなかあさこ・横井智美
『小五教育技術』 2018年6月号