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落ち着きのあるクラスになる!音読で学級づくり

2019/7/24

勉強に集中できない、自信がない子が多い、やんちゃな子から離れられない…など、学級の心配点は尽きないもの。一学期が終わる頃、いい雰囲気の学級になってきたと思ったら、夏休み明けの9月には、ソワソワ、ザワザワしたクラスに逆戻りしてしまった…。そんなときは、学級文化をいち早く取り戻す一つの手立てとして、音読による学級づくりを取り入れてみてはいかがでしょうか?

文・岡本美穂(学力研)

音読する子ども

夏休み明けの不安を「音読」実践で吹き飛ばそう

自分のクラスを振り返ると、

◦勉強に集中しない。

◦自信がない子供が多い。

◦落ち着きがない。

◦やんちゃな子供から離れられない。

◦立ち歩く子供が多い。

など、心配点をあげるときりがないのではないでしょうか。このような悩みと日々格闘していると、9月からの授業をどう再開させるべきなのか、不安でいっぱいになることでしょう。しかし、どんなに大変な学級であっても授業は進めていかなくてはいけません。

そこで今回は、どの学級でも適用できる「音読」を紹介します。音読は、荒れたりキレたりする子、すぐ喧嘩になる子、低学力の子、なども気に入って取り組む実践の一つです。

「学習モード」へ一直線

音読のポイントは次の4つです。

【音読の4つのポイント】
 ①脳に信号を送る
 ②心地よさ
 ③苦手な子供が参加できる
 ④文化的な雰囲気になる

①音読→脳に信号を送る

「チャイム着席をしよう」というのが1年間の目標として学校に掲げられているのを見たことがあります。もちろんガチャガチャした学級で困ることの一つに、休み時間が終わっても子供たちが運動場から帰ってこない、というのはよくあることです。「あの学級は、時間も守れない」などと他の先生方から指摘され、気になることもあるかもしれません。そうなってくると、「早く座りなさい」という叱る指導が増えてきます。この叱っている間に起こっていることを想像してみてください。

ガミガミ怒る先生

叱っている間にも新出漢字の指導はできるはずです。だからこそ、9月の最初は、チャイムが鳴ったら時間を守っている子供たちと楽しそうに音読を始めましょう。もちろん遅れてきた子供には、「遅れてすみません」と言えるように指導します。

つまり、遅れてきた子供に大量の時間を割くことはやめて、ルールを守れる子供たちを大事にするということです。

その際、ゲームやクイズなどではなく「音読」がおすすめです。確かにゲームは楽しくて、子供も喜ぶかもしれません。しかし、それを持続させることは難しく、ゲームの時だけ盛り上がるような学級づくりになってしまう危険性があります。それに比べて音読は、準備物も必要ありません。授業と内容がかけ離れたりもしません。

音読をすることで、脳に「授業が始まる」と意識させることもできます。9月の最初に取り組んで、切り替えの習慣を早く身に付けさせましょう。

× 帰りが遅い子供を待つ
〇 さらっと指導して、できている子供を褒める

②音読→心地よさ

心地よさは、学級でしか鍛えられません。甘いものを食べても、温泉に入っても、マッサージを受けても「心地よいな」と感じることはできるでしょう。しかし、学級での心地よさとは全く違います。

ここでの心地よさとは、やればやるほど自分は凛々しい姿になっていると自覚でき、自分の成長を自覚できることで「心地よい」と感じることです。つまり、この心地よさは、勝手に身に付くものではないということです。そして、授業での音読で「心地よさを鍛える」のです。この感覚がつかめるようになると、学級でのあらゆる実践が進化します。心地よさを土台にして「やる気」は伸びていくからです。音読こそ、「心地よさ」をすぐに感じることができる実践なのです。

自分の成長を自覚できる=音読

③音読→勉強が苦手な子供を伸ばす

子供の変容がわかりやすい実践の一つが、音読です。それは、さぼっている子供が目立たないからです。

音読指導の最初は、必ず「一斉音読」です。個人読みからさせてはいけません。特に雰囲気の悪い学級では、個人読みは禁止です。

頑張っている子供こそがキラキラと輝き、それが学級の雰囲気になっているというのがポイントです。苦手な子供が最初は目立たず、みんなと練習を積み重ねることで、自信を付けていくことを目指しています。

最初は必ず「一斉音読」

④音読→文化的な雰囲気になる

音読を続けていくと、チャイムが鳴る前から、子供たちが「音読をしよう」と声をかけて、班の友達やペアの友達と取り組んでいることがあります。「授業だから音読する」ということではなく、「楽しい、面白いから音読する」という段階です。このような学級の雰囲気が、その学級の文化となります。それが「学級づくり」です。まさに、「音読」で自分の脳を鍛えながら、学級の友達みんなで鍛える、というイメージです。内容がわかればよい授業、子供たちが仕方なく机に向かう授業ではなく、心から楽しさを感じられる授業を目指しましょう。

音読をし合う二人

楽しいから音読する ⇒ 学級文化 = 学級づくり

9月からやってみよう 音読指導

ステップ1 目標を示す

音読指導は、文の出だし練習から始めましょう。

「お手紙」(アーノルド=ローベル)の例

音読をします。先生の後に続いて音読していきましょう。では、姿勢を正していきますよ。

お手紙。はい。

お手紙

うーん。声のハリがない。

お手紙、という題名の『お』をしっかり声に出していきましょう。
お手紙。はい。

お手紙。

はい、よくなりました。が、今のではドラえもんのようなスピードなので、テンポよくいきます。
お手紙。はい。

お手紙。

よくなりました。作者名も言います。

このように、同じ文や言葉でくり返し練習を行います。私は題名と作者の部分で、音読での

◦姿勢
◦声の大きさ

の到達目標を示し、子供たちに体験させるようにしています。体験しないと、子供には教師がどこを目指しているのかわからないものです。

音読の到達目標、目指すべき姿というのは、教師がどんなに言葉で説明しても実際に体験していかないと身に付かないものです。体験してできる経験があるからこそ、「成功体験」となって音読の面白さに気が付けるのです。そして何度か練習をする中で、集団から個人の音読力を伸ばすことを目標に行います。まずは、集団で合わせることが大切ということです。

最初の指導段階では、子供たちにはいわゆる「上手に読める子供」と「読めない子供」というように、格差があります。そんな中、一人で読むことを求めると、子供たちは傷つきます。自分は読めない、自分はできない、と身をもって体感させてしまうことになります。すると音読が嫌いになります。

集団で合わせる楽しさを知ること、また「できた」という経験をもつことを最初に全員で目指し、そこから個人を磨くということです。

句読点の指導

読点、句点は「説明文」の音読指導で子供たちに意識するように伝えています。読点では息を整え、句点ではそれまでに書かれた内容を思いかえすように読むことを約束にします。

よく一年生が「おはようございます」と一斉に言う際、まるでドラえもんのように、ゆっくり間延びしたように言うことがあります。これはなぜだかわかりますか。一斉に読む際、全員の声をそろえようと、みんなが声に合わせていくために起こる現象なのです。それを教師が意識せずに音読指導をしていると、間延びをした、だらっとした音読になってしまいます。

これは中学年でも続きます。だからこそ、説明文などで一斉に音読をさせる際に、この読点と句点後の最初の文字をハリのある声で読むようにします。すると、声に合わせようとするのではなく、文章に合わせるようになっていくので、間延びした音読にはなりません。

ステップ2 姿勢の指導

「姿勢を正す」ことを徹底することで、集中力が高まります。姿勢が悪いと長時間落ちついて座ることができなくなるだけでなく、同じ姿勢を保つことが難しくなり、集中力が途切れやすくなります。

姿勢を確認するときは、「姿勢をよくしましょう」などと言って、腰骨を立てた姿勢を意識することだけを伝えるのではありません。姿勢のよさが習慣になることを目指しているので、その先にある学習モードに入る意識を付けるようにします。

「あごを引く」

「本はゆったり持つ」

と子供の前でお手本を示しながら、子供に伝えます。

9月の最初の時期によい姿勢の話をすることが、今後の指導に関わってきます。くり返し指導していくべきことだと、最初に覚悟しておきましょう。

姿勢に気を付けて音読する先生

ステップ3 さまざまな音読で楽しく取り組む

一斉音読にばかり取り組んでいては、本当に全員が参加しているかどうかわからないと思い不安になることがあるでしょう。また、全員参加していると思い込んでしまい、読めなくて困っている子供を見逃してしまうこともあります。だからこそ、文章に慣れてきた頃に、個人練習の音読を子供たちに教えていきましょう。

◦指さし読み

教師が読んでいる文章を指で示しながら読む方法です。読むのが苦手な子供は、ここからスタートしましょう。

◦拡大語読み

重要だと思う言葉やフレーズ、文章を、声量をあげて読む方法です。特に説明文の要旨をつかんだり、確認したりする際におすすめです。

◦速読み

できるだけ速く読む方法です。息継ぎを我慢すると、自然と息が腹に入り、腹式呼吸を覚えることができます。子供たちは面白がって行います。

◦唇読み

唇だけを動かして読む方法です。周りの友達に聞こえるか聞こえないくらいの声量で読みます。友達の音読を聞いているときは、誤読に気付かないことも多いので、唇読みに取り組むように指導しましょう。

◦微音読

唇読みよりも少し大きい声で読みます。大きな声を出すのが苦手な子供も、抵抗感が少ない方法です。

◦口パク読み

「口を大きく開けて音読しましょう」と言われると、その場限りでは意識できるかもしれませんが、なかなか習慣にはなりません。ただ続けて行うことで、子供の口形指導にもつながっていくものなので、友達が音読している時は、その友達の音読を聴きながら「口パク読み」を行うように指導しています。口パクなので、あくまでも声は出さずに口だけ動かしている状態です。

では、友達の音読を聞いている時は、口パク読みをします。

えー。

どんなふうにしますか。

自分が一人で音読しているのと同じだよ。ただ、声は出しません。一度先生がやってみますね。

(教師が実際にやってみせます)

あー、おもしろい。

どこを読んでいるか、わかる口パク読みを目指してね。

そして、この後、うまいと思う子供たちに代表でやってもらうと、盛り上がること間違いなしです。

ステップ4 言葉がけで子供のやる気をアップ

子供たちを音読好きにするためには、

音読ができる→楽しい→好き

とさせられるかどうかが重要です。そこで大切になってくるのが、教師の言葉がけです。音読における主な評価のポイントは次の6つです。

◦本の持ち方
◦姿勢
◦はっきりと読む
◦声の大きさ
◦間の取り方
◦読むスピード

この評価のポイントを、指名読みをさせたときの評語の中に交えていきましょう。

(例)

1人目「正しく本を持っていますね」
2人目「姿勢がいいです」
3人目「よく聞こえる声ですね」
4人目「聞き取りやすい声だね」
5人目「間のとり方がいいです」
6人目「読むスピードがいいね」

生徒の音読をほめる先生

6人に六つのポイントを指摘することで、7人目以降の子供たちはこれまでのポイントに留意したり、それを克服したりして読むようになります。ポイントを明らかにしておくことで、子供たち自身が自己点検することもできます。「うまい」「完璧」と言ってもらうのも、子供たちはもちろん嬉しいものですが、具体的に評価することでより努力しやすく、成果につながりやすくなります。

(例)

「いい姿勢! 背中がピンッて伸びていて、声が出やすそうでいいね。」
「今日からあなたは音読師匠です。」
「世界1位の音読だなあ。」
「口が大きくなったように思える音読だね。すごい、すごすぎます。」
「昨日よりも伸びている音読だね。伸びが伝わる音読ができるとはまいった。」
「○○さんの音読が、全員で読んでいても伝わってくる。」

個別の評価

個別に直接音読を聞く機会をもちます。できたらちょっとした隙間時間を利用して、気軽に聞いてあげるのがよいでしょう。これは意欲を育む目的で行います。

○ページ、○段落読んでみて。

はーい。

(子供が音読するのを聞きます)

引っかからずに読めていたね。よく練習したのがわかってうれしいな。

などと評価をします。

そしてもう一つは、授業の中で意図的に指名して音読させます。その際、苦手そうな子供を当てて、その子供の変容を周りの子供と見届けていくのです。一人の子供が音読した後に、

今、○○さんの音読のよいところを三つ見つけました。わかる人?

と言って、子供に答えてもらいますが、正解は出ないようにして、

おしい、あと一つ見つけてほしい。○○さん、みんなのためにもう一度読んでくれる?

などと言って、個人練習の機会を増やしていくのです。これで、聞いている学級の子供の音読の質も向上することは間違いありません。「楽しく」個別指導がポイントです。

9月にぴったり実践編

①声に表情を付ける

声の表情を付ける練習は、まず次のような声での音読を遊び半分で行います。

◦高い声
◦低い声
◦おじいさんの声
◦おばあさんの声
◦赤ちゃんの声

声に表情を付けて音読する子2人の子

その後、次のような声で音読を行います。

◦温かい声、 冷たい声
◦柔らかい声、 硬い声
◦穏やかな声 、とがった声
◦澄んだ声、 濁った声
◦はりきった声 、沈んだ声

声に表情を付けて音読する子3人の子

このように2段階に分けて取り組むことで、言葉の意味や重みに敏感に反応できることを目指します。ただし、この段階で実際に声で表現できているかどうかを問う必要はありません。

②音読の習熟

最後に目指すのは、「すらすら読み」です。

すらすら読めること自体が国語の学力となります。すらすら読めるようにさせる簡単で確実な方法は、くり返し読ませることです。1回読むたびに題名の横に○印を付けるというルールをつくり、音読した回数を記録させましょう。くり返し読むことの動機付けとなります。

題名の横に印を付けて音読した回数を記録する

子供は、本来勉強が大好きです。以前、新聞委員会の子供たちが「好きなことは何ですか」というアンケートを一年生にとっていました。多かった答えは、「勉強」「国語」「算数」でした。

今もっている力より半歩ほど難しいことに対して、どの子供も嬉々として勉強に取りかかります。そして、勉強するほどに力が付きます。正答率も高くなり、速度も上がります。テストの点もよくなります。そうなると、子供たちはますますやる気が高まり、いっそう勉強に励もうとします。

こうして学力の伸びは、子供たちの自信とやる気を育み、そこに誇りをもつことで、落ち着きをもった子供たちに変容していくのです。音読はそんな子供のやる気を引き出す役目をしてくれます。

9月のリスタート期は「音読が楽しい」という学級文化を子供とともに創り上げましょう。それが「心地よい、よい学級文化」となっていくのです。

本と子供たちの顔がちりばめられたイメージカット

8月3,4日に大阪府大阪市で開催される<第61回学力づくり・学級づくり全国フォーラム>(主催・学力研・家庭塾連絡会)では、岡本美穂先生の講演も予定されています。セミナー情報はこちらから

イラスト/設樂みな子

『小二教育技術』2018年9月号より

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