小1体育「表現リズム遊び」指導アイデア

表現遊び

楽しみ① 「生き物カード」で変身して、「できごとカード」で楽しもう

最初に各生き物の特徴を出し合い、即興でなりきれるようにしましょう。生き物の動きを決めるのではなく、子供の自由な発想や想像の広がりを大切にします。生き物カードで即興的になりきれるようになったら、「できごとカード」を使って、多様な動きやアイディアを引き出していきます。

「生き物カード」の例

生き物カード

ライオン さる ぞう いぬ にわとり とかげ へび かえる くらげ まぐろ たこ いるか かまきり ちょうちょう だんごむし

「できごとカード」の例

できごとカード

・あらしがやってきた!
・ごはんがおいしいなぁ♪
・そ~っとにげよう……
・ライバルとのたたかいだ!
・ダンスをおどろう!

●カードの作り方のポイント

①画用紙や板目紙に描いたり、印刷したものを貼り付ける。
②「生き物カード」と「できごとカード」が一目で分かるように、背面の色を変える。

「生き物カード」は、跳ぶ、回る、ねじる、はう、素早く走るなどの動きを含む生き物がよいでしょう。
「できごとカード」は、全身で動いたり、速さや高さに変化が生まれるものがよいでしょう。
カードの中にオノマトペや絵を入れると、題材の特徴を捉えやすくなります。

●カードの使い方

①「生き物カード」をめくる。
②めくった生き物になりきりながら、「できごとカード」をめくる。
③踊る

「生き物カード」「できごとカード」の使い方

「できごとカード」を3枚めくったら、新しい「生き物カード」をめくりましょう。

《遊びの約束》

★カードを見たら、裏向きにして戻す。
★めくったら、すぐに変身する。

●カードの組み合わせの例

にわと+ごはん
たこ+そーっとにげる
へび+あらし
かまきり+たたかい
くらげ+ダンス

楽しみ②-1 簡単なお話にして踊ろう

3~4人のグループごとにお気に入りの生き物を決め、いくつかの出来事をつなげたり、出来事の続きを足したりしてお話にします。事件が起きたり、状況が急変したりするような場面を作るようにすると、簡単にお話になります。お話を組み合わせる際は、グループで座って話し合うのではなく、体を動かしながら即興的に行うようにしましょう。

【かまきりの例】

かまきりの例1
①ごはんが、おいしいなあ
かまきりの例2
②ライバルが、横取りに来た!
かまきりの例3
③仲よく、分け合ったよ!

【さるの例】

さるの例1
①おいかけっこをしよう!
さるの例2
②ボスざるが来た!見付からないように、そ~っと逃げよう…。
さるの例3
③うまく逃げきれた! 喜びのダンスを踊ろう♪

《教師の言葉がけ例》

・「なるほど! 獲物をはさみうちするんだね!」
・「声が低くて、強そうだね!」
・「どうしたら、『そ~っと』逃げているように見えるかな?」
・「その後はどうなるの?」

〇指導のポイント

カードに書いてあることだけでなく、想像を膨らませて楽しめるよう、声をかけましょう。教師の考える「子供のよい動き」を引き出すための言葉がけ
を意識しましょう。

楽しみ②-2 お話を見合って楽しもう

できたお話をグループごとに見合い、面白かったところや、よかった動きを伝え合います。人気のあったお話を、みんなで一緒にやってみてもよいでしょう。

【見合い】

お互いに見合う

どんな動きがよかったですか? 手の動きや表情など、上手だったところを伝えましょう。

【みんなで】

みんなで一緒にやってみる

○○グループみたいに、なりきって踊れるといいですね。真似っこしてみましょう。

ワンポイントアドバイス

・BGMについて

表現遊びでも、BGM を活用しましょう。どんなBGMを使うかによって、子供の動きが変わってきます。教師のねらう動きに応じて選びましょう。

《激しい曲》

熊の対決
【熊の対決】

《明るく穏やかな曲》

仲良しうさぎ
【仲よしうさぎ】

・運動する場所について

広すぎる場所で行うと、心と体がほぐれにくくなり、狭すぎると安全面で問題があります。30 ~ 35 人程度のクラスなら、体育館を仕切って半面程度を使いましょう。

〈仕切りの例〉

仕切りの例
カラーコーン・段ボールの草・傘の木

・服装について

上履きや赤白帽子は脱いで、足の指先や髪の毛も表現に使えるようにしましょう。靴などを脱ぐことで、心と体がほぐれやすくなることもねらえます。

服装について

・安全に行うために

安全のために用意するもの
水分補給・扇風機・熱中症指数計

【ねらいにせまるためのポイント】

リズム遊びも表現遊びも「即興性」が大切な運動遊びです。曲やカードから浮かんだイメージを即興的に体で表現します。話し合って動きを練り上げるのではなく、その場ですぐに動くことを伝えましょう。教師は、子供の豊かな発想や動きの工夫を見取り、大いにほめましょう。

友達と関わりながら、仲よく踊ることも大切です。生き物の世界に入り込むあまり、ペアやグループの友達と関わらずに、一人で没入してしまう子がいます。そのなりきりは認めつつ、友達と関わりながら、真似をしたり自分の動きを見せたりできるよう声をかけていきましょう。

学習指導要領では、技能面として「軽快なリズムに乗ること」と「題材の特徴を捉え全身で踊ること」が示されています。単元に入る前に、教師が具体的な動きのイメージをもっておくことが、子供を見取る上で大切です。また、子供の恥ずかしい気持ちが大きいと、何もできずに終わってしまいかねません。心と体をほぐし、友達と関わりながら遊ぶことで、意欲的に学び続けられるようにしましょう。

教育課程調査官からのアドバイス

国立教育政策研究所教育課程調査官 高田彬成

1年生の「表現リズム遊び」は、身近な題材の特徴を捉え、そのものになりきって動いて楽しむ「表現遊び」と、軽快なリズムの音楽に乗って楽しく踊る「リズム遊び」で構成されます。

まずは、本稿にあるように、「リズム遊び」で楽しく踊り、心と体を十分にほぐしてから「表現遊び」に取り組むことが有効です。教師の言葉がけや動きの例示などをもとに、子供のよい動きをたくさん引き出すとともに、動物などの題材の特徴を捉えた動きを大いにほめましょう。

リズムに乗って自由に踊る楽しさや、動物などになりきって全身を使って踊る楽しさを十分に味わい、「表現リズム遊び大好き」という気持ちを大きく膨らませましょう。

イラスト/栗原清

『小一教育技術』2018年9月号より

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